2015年5月22日金曜日

活元運動とは?








    活元運動は、身体の自律的な調整作用を活用した
   自発的な内環運動といえます。

   身体は常に意識しないまま、体バランスを保つように
   運動系や神経系、内臓にいたるまで全ての調整を
   自律的に行なっています。

   随意筋や不随意筋、それに絡まる自律神経系統のすべてが
   無意運動系として、個体を保持するために陰ながらに
   立ち働いているのです。

   そのような調整作用を野口整体では、錐体外路系運動と
   呼んでいます。
   (錘体路以外の運動経路を指すのですが、意味合いから
      いきますと、双方を含めた意味の無意運動系統と考えられます
   
   この調整運動を、半意識的に誘導して誘発しようという
   ものです。

   動きはおのずと、意図的でなく、その動きの目的は当の
   本人にも分からない動くままに動く運動であり、
   動きたいように動く運動でもあります。


   以前はそう簡単には引き出せませんでした。
   特別の作法や気合いや行を必要とする、かなり高度な
   修養法と考えられていました。
   しかし、野口整体の創始である野口晴哉は、これを
   見事に整理された、明確な呼吸法として誘導し、発動する
   ことを可能にしたのです。

   それにより今では、ある種の垣根が取り払われ、誰にでも
   静かであっても大きくあっても、発現するものであり
   いつでも、どこでも出来る自己調整運動、自主管理法と
    なったのです。











2015年5月20日水曜日

準備運動 ~身体をひとつ弛める






  
   ◆準備運動

   活元運動を身体の内部から自発させるには
  まず、硬張った身体の何点かをひとつ、弛めておくことから
  始めます。


準備運動①  邪気の吐出

    邪気の吐出、と呼ばれる最初の準備運動です。
    息を深く長く吐き出し、鳩尾をひとつ、弛めます。

    鳩尾は、頭の中の忙しさ、気がかりなことへの執着、
    他者や外界への協調しずらさ、心配事の居座り
    などの頭の緊張度合が現われます。
    フッと頭を弛められない、、
    気を抜けない、、
    などが、この鳩尾の穴を硬張らせ、息を吐けなくさせるのです。


    
    肺に溜まった古い吸気をすべて吐き出すようなつもりで
    身体を前に屈めながら、吐き出していきます。

    鳩尾と云う処は、胸骨の下部の真ん中、入江のように
    三角に奥まった部分にある剣状突起から指三本下の
    あたりのへこみ、弛んだ穴にあいた部分のことを指して
    います。

    この鳩尾に第2指(人差指)、3指(中指)の指先を軽く当て、
    大きく息を吐いていきます。
    身体を前に屈めながら息を吐いていきます。
    息を吐くごとに鳩尾の穴が、さらに弛んでへこんで参ります。

    鳩尾に当てた指先を、弛んであいてゆく穴に添わせるように
    軽く押し当てさらに深く息を吐いてゆき、
    身体を前屈みに折りたたんでいきます。

    この時、身体を屈める速度が早いと吐く息より先に屈みきって
    しまいます。
    身体を前屈みしていく速度をゆっくりとし、息をゆっくり長く吐き
    切れるように微調整しながら折りたたんでいきます。

    身体の屈み具合は、おでこが床に付くか、付かないかぐらい
    までです。

    腰の硬さやお腹のつかえる方などは、苦しくないところまでで
    構いません。

    
    吐く息が早すぎて、床近くに頭が到達してしまい、そのまま
    息を吐き切ろうとしますと、逆に鳩尾が硬くなってきます。
    ですから、なるべくゆっくりと身体を屈め、息を口からはああと
    声に出して吐いていきます。


    邪気の吐出が上手くいきますと、あくびが出たり、涙目に
    なったりして、首から上の代謝が亢まり、頭が弛んできます


    3、4回程度行ないます。
    
    ※あくび等が出るまで、何度もやってもかまいません。
     しかし、あまりムキになってやることは、薦められません。
    






準備運動②  捻り運動



   腰を捻ります。

   頭をまずひとつ弛め、次に腰の硬張りをひとつ抜いて
   おくのです。

   左側から捻ります。
   左手側から背中を見るように少し、後方に反りながら
   捻るようにします。

   この時、捻る方向と反対の足の内股に逆側の手(右手)を
   当てると捻りやすいのです。
   
   ぐううと、捻り、捻りきったところで少し力を溜めて
   ポッと抜きます。
   ポッと抜くことで、フワッとその反動で上体が元に
   戻るように抜くのです。

   左右を交代に捻り、これも3、4回行ないます。
   捻りにくい方がありますから、その方向だけ2回ぐらい
   追加してもよいです。








   ◆止めの呼吸法(深息法)

   活元運動は、身体の中から自発的に動きが出てくる
   運動ですから、自然に動きが治まるまで出し切って
   しまう方がよいのです。
   動きには亢まりと終息があり、全体に静かになって
   終わります。
   
   しかし、最初のうち、訓練として習いたての頃は
   この動きの途中で、運動を止めることも「要求の中断」
   として運動の質を亢める一工夫になります。

   ただ、活元運動は途中で俄かに目を開けたり、ハッと
   意識運動に切り替えたりすることは好ましくありません。
   そこで、途中で終える場合などには、身体に節目を付ける
   ために呼吸法を用います。

   深息法という呼吸法を使います。

   息を深く吸い込み、下腹の丹田あたりにぐっと下ろし
   身体を緊張体勢にした状態で、目を開けるのです。
   活元運動は弛み、弛んでいく動きですから、息を吸い
   込んで、こらえた状態をつくり、引き締めた状態で
   日常のこの世界に戻ってくるという感じです。





止めの呼吸法  深息法


   ①息を口から吸いこみます。
    この時、手を下腹や足の付け根などにおいて
    丹田におのずと感覚が集まるようにしておきます。
    ※鼻から息を吸い込むのでは駄目です。
     口からすううと吸い込まないと腹に落ちません。

   ②息はまだ、吸い込めてヘソより上方までしか
    吸い込めていません。
    そこで、さらに吸いながらその息をいったん胸に
    吸い上げるようにします。
    肺と肋骨が大きく膨らみ上向きに持ち上げられる
    感じです。

   ③胸に吸い上げた状態でしばらくこらえていると、
    自然と上がっていた肋骨が下がってきます。
    それに合わせて「うーむ」と声に出し、同時に
    吸い込み吸い上げた息を一気に下腹に下ろします。
    丹田が充ちるように、下腹全体が背側までも
    大きく膨らむような具合に下ろすのです。

   ④丹田に落ちたらしばしこらえて、気が充ちていくのを
    感じ、目を片目づつ開けてから、ゆっくりと
    息を呼きます。
    
   ④これらは一連のひと息の吸気となります。
    吸って、吸い上げて、「うーむ」と下ろすのです。
    「うーむ」と声に出すことで鼻から少し息が漏れる
    のです、「む」で丹田にすとんと落ちるような
    感じで行ないます。

   
   少し、訓練が必要な呼吸法です。
   簡単には下ろせません。
   習熟して丹田に充つるように息を矯められるようになると
   この呼吸法は普段でも行なうことで、腰の強化法に
   なります。

   最初の頃は、難しいので息を吸い込んでグッとこらえ、
   身体をひとつ引き締めた状態で目を開けて、ゆっくり呼く
   と云う風な感じでもかまいません。

   いずれにしても緊張を作り出して、それから止めると云う
   ことを習慣とすると良いのです。








2015年5月18日月曜日

誘導法と自律運動の発現





   

  ◆誘導法

   誘導法は、活元運動そのものを誘発するための
  事前運動です。
  活元運動は、身体が常日頃、意識の裏側で体バランスを
  保つために行なっている自律調整作用です。

  常に動いている体運動を、より大きく表側に出そうとするの
  ですから、身体にとってひとつ緊急的な非常力の出動を
  促す刺激を与えないとなりません。

  そのため、身体にとって不自然でアンバランスな呼吸を
  与えるようにします。

  それが、以下の誘導法である所作となります。
  




    ①親指を内側に握りしめるよう拳を作り、腕をななめ前方
     から肘をくの字に曲げながら、肩甲骨を寄せるように
     後方に反らせていきます。
     
    ②これを、息を呼きながら行なうのです。
     はあーと声に出し、ゆっくり呼きながら動作をします。

     ※肩甲骨をぐうと寄せるのに、力が集まってゆくように
      溜めますから、身体にとっては非常に力感のある
      大きな、普段行なわない動作となります。
      これが、呼く息で行なわれるため、身体にとっては
      不自然で負担のある動作なのです。
      そこで、無意運動系の調整作用がおのずと、この
      不自然なアンバランスを調整しようと発動される
      のです。

    ③身体を後方に反らせ、肩甲骨を寄せながら
     脊椎の上部から順々に力点を下に下ろしていきます。
     脊椎に集まった力を一つひとつ下ろしながら、
     腰椎のあたりまで下ろし、息を呼き切ったところで
     少し奥歯を噛みしめます。
     
    ④少し耐え、ポッと弛めます。
     フワッと腕が戻るよう、腰あたりの力をフッと抜く
     のです。
     一瞬で、身体じゅうの力が抜け、弛むようにします。

    ⑤この動作を3回行ない~身体にとって負担となる動作
     のため3回までです~首を弛め、目を閉じ、手のひらを
     膝の上に上向きに置いて、ぽかーんとして
     活元運動の内動を待ちます。
    
   







    ◆自律動